ベルギー名作劇場

BAKUSHUHONPO

2010年09月14日 18:41

『名作』といわれる逸品があります。


このビールはセゾン・デュポンやボン・ヴー、そしてモアネットで有名なデュポン醸造所の逸品です。これだけ名作揃いの醸造所では存在感がかすんでしまいそうですし、何となく流通量も知名度も小規模の気がしないでもないのですが、こちらは真の名作、素晴らしい味であると言い切れます。

日本美食学会 会長様のブログより。








その逸品とは…








「セルベシア」



「風味の構成の複雑さに加え展開の大きさと美しさを持ちながら、欠点が見られない真の名作ビール。華やかな甘みと落ち着いた渋みが魅力的!」


なんて素敵な表現をされるのでしょう。



味わうことの喜びを感じさせてくれるビールです。
喉越しで楽しむような軽薄なものではありません。こういうお酒に出会うと、自然とTVのスイッチを切ってしまいますね。味わいの旅に深く、深く入っていくことを楽しみたくなるのです。

香はオレンジピール、ハーブにホップといったスパイスや香草の香りを強く表現しますが、奥行きがあり、何よりも爽やかです。

そしてその味もまた見事。
口当たりには香の強さを感じながらも、渋くなりすぎない苦味を中心に複数の風味のまとまりを感じます。このまとまりが何なのかは、中盤にわかります。風味のパズルが紐解け、苦味が深く下方向に伸び、酸味は頬を刺激し、口の中を引き締めながらも頬を広げていくかのようです。そして酸味の上に漂う穏やかな甘味が浮かびます。

後味は辛味が現れますが、これもまた深みを感じさせるもの。
中盤で紐解けた風味のパズルは、再び互いと共鳴しあい、渾然一体となったまま深みのある余韻を残します。

余韻そのものは特別長いものではありません。
しかし湿り気を帯び、じわっーと染み込んでいくような素晴らしいものです。

微かな苦味が舌先に残り、大人びた風味が飲み終えた後の印象を引き締めます。




まるで何かの小説を読んでいるかのよう。
文才のある方は文字だけで5感を刺激してくれます。



そして今、このセルベシアが数本麦酒本舗に来ています。


たしかに『名作』と唸ってしまう逸品。
残りわずかとなりました。

やっと涼しくなってきた初秋の夜にいかがでしょうか?
ちなみに、セルベシアとは
ビール を意味するケルト語起源のラテン語であるCerevisia に由来するそうです。
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